SSブログ

ロードオブザ・デカマグロ(長編) [マグロデンタルクリニック]

2007年、衝撃のマグロのひきを目の当たりにしてから、5年が経過していた
何とか10kgを超えるようなサイズを釣り上げたいと思っていたが、ん?
この引きはもしかしたらデカイかも?
そう思っても、せいぜい7,8kgだった...毎年10kgを超えることなくシーズンが終わっていた。

当時はまだ、むこう合わせで、マグロがびゅーんと泳いできて、自分の仕掛けに運良く食いついたら
強靱なタックルと仕掛けで釣り上げる!
とまあそんな風に考えていたので、強固な固定天秤に8号300m、16〜24号の市販仕掛け3m
(どうしてもこの釣りだけは、仕掛けを自分で作って使うことが怖くて出来なかった)
そんな程度であったし結局大型らしきアタリがあったところで、いつも秒殺されていたので
必然的に使うハリスがどんどんと太くなっていく。

船長はいつも20号以上は入らないよ、でかいの獲る人はみんな誘導天秤なんだから
マグロは目がいいし、警戒心が強いからビシには近づいてこないからハリスを長くとれ
コマセもポロポロ出せばいいから、カシャンカシャン振っちゃだめだ
まるで真鯛でも釣るかのような勢いだった。
そうはいってもなかなか理解できず、こっそりと太いハリスを持ち込んでいた。

しかしそんな思いが一新されるような出来事が2012年のシーズン始めに起こった。
開幕後20kg台がぽつぽつと上がり始め、私にもチャンスがあるのではと考えていた矢先に
ズドーンと強烈なアタリが来るも秒殺だった、ハリス24号なのになんで?
巻き上げてみると重みがない。
こりゃ道糸からいっちゃったなと思っていると、
ステン缶がない...
よく見るとスナップスイベルがひん曲がり開いて伸びている...
すかさず船長に見せると、だから誘導天秤使えって言ってるだろ、
ビシの抵抗でスナップが伸びたんだよ
これがマグロのパワーだ、それから必ず合わせを入れなきゃダメだよ、
30号だろうが40号だろうが歯にあたればみんな切れちまうから!
マグロを獲るには一つでもミスがあったらダメだ!
上手な人はヘラブナ釣り級のあわせを入れるからみんな手で持って最初の小さな当たりに集中してる、
デカい奴ほどアタリは小さい、そしてなるべく懐の広いマグロの歯を越せるような針を使え!
がっちり口にかけて誘導天秤で走らせれば、ハリスなんて20号で十分だ!
とにかくヒットさせなきゃ勝負は始まらない!

そうか、そういう事だったのか、今まで自分が獲れない理由がよく分かった

まるで分かってなかった...

早速、sicリングのカモシ天秤と専用のロングライフクッションを購入して持ち込んだ。今度こそ!
気合い入れて投入するも1投目でいきなりお祭り、まだ誘導天秤の特性を理解しておらず、
自分のビシが上がって無いことに気付かずPEを切った為、いきなりロスト...
結構高価な天秤だったので一つしか持っていない、今日1日もう勝負出来ない…
そう思いつつ固定天秤のスペアに変えてひたすら手で持ち続けるとコツコツコツと小さなアタリ、
渾身の力でアワセ入れた瞬間、竿がぶち曲がるも秒殺、回収してみるとまたしてもビシが無い…
クソっ誘導があれば、しかし誘導天秤を一つしか持っていなかった自分のミスだ、
船長が「マグロを獲る奴はノーミスだ!」っと言うのは技術的な事だけじゃなく、
こういう不測の事態に対しての準備だってそうなんだ。

しかし、少しづつマグロに近付いてきたと、そんなふうに思えた。
まだまだ、現在程、近所の釣具屋で誘導天秤が売っていなかったので、渋谷のサンスイに行って、
天秤をみていると、店員さんに秀吉丸?と声をかけられた。あそこの船長、誘導使わせるでしょっ
て言われた、それから自分で仕掛を結ぶ自信が無いのでオススメのものが欲しいと伝えると、
「最初から、自信が無い事を認めて、市販の仕掛を買うなんて潔いじゃないか、ここの仕掛けは全部俺が手作りしている安心して使ってくれ」そう言ってくれた。

オマツリで、何度かカットしたラインも新品に巻き直し、大型のクーラーボックスも新調した。

今度こそ!そう思い10号船に乗り込んだ。
出船前に船長がドラグ調整してくれるのだが、本当にこんなに硬くて糸が出て行くのだろうか?
いつもそう思っていた、ひたすら手持ちでアタリを待ち続ける、するとコツコツコツとアタリがきた、
アワセを入れるがすっぽ抜けた、あー今日はもうこれで終わりかなと思っていると、
すかさず船長が今60m?と聞いてくる、この頃はカツオもマグロも兼用で出船していたので、
マグロの反応がある時は、その棚を指示してくれていた。
1日に1回あるか無いかのアタリに渾身のアワセを入れるのはやはり勇気がいるし、
もう少し食い込ませたいとさえ思ってしまう。
そんな姿を見ていてくれた船長が「すっぽ抜けたってアワセないよりぜんぜんいい!それでいいよ」
そう言ってくれた。
また、マグロをひたすら狙って棚取りしても、どうしたってカツオやキメジは食ってくる、
そのつど仕掛を新品に交換するのだって大変だった、
一本、千円近いのをポンポン変えるのには心が折れそうになった。

そんな事を続けて、とにかく船に乗り続けた、そして8月も終盤になり、ついに運命の日が来た。

いつもの様に手持ちでひたすら構えていると、コツコツコツとアタリがきた、「オゥラァ!!!」
雄叫びをあげ渾身のアワセを入れると、とんでもないスピードでラインがすっ飛んでいく
それは一瞬で相手がマグロだと確信出来るものだった。
今度こそ口に針がかかった!ハリスはさっき変えたばかりの20号、
道糸だって昨日また新品に交換したばかりだ。
船長が全員の仕掛を上げさせて、誘導とロングライフ付けてんだろ?
「つけてる!!!」
そう叫ぶと大丈夫だよと言ってくれた。
父が私にハリス何号だ?と聞き、さっき20号に変えたばかりだと言うと、
「いい勘してやがる」と言ったが、いい勘などしていない、この日のために常に準備してきたのだ。

絶対に最後までスタンディングでやりきると決めていたが、マグロのパワーは私の想像をはるかに超えていた、何メートルのラインが出されて何メートル巻き取ったかなど当然分からない、
何度も途中くじけそうになるが、今までの思いが走馬灯のごとく駆け巡る...

タイにナマズも釣りに行った

ラインだって新品に巻き替えた

天秤のスペアー、仕掛けのスペアーも沢山準備した

接続金具のチェック、不安な接続はみんな取り払った

仕掛けを作ってくれたサンスイのおじさんだって、安心して使ってくれ!そう言ってくれた

この日のために色んな準備をしてきたのだ、でかいマグロを釣るためには一つのミスも許されないんだ

今がんばらないでいつかんばるんだ、そんなことを思ってとにかく必死に巻いた

30分近く格闘して、ようやく魚体が姿を見せ始めると

でかい!

自分も含め船のみんなもそう叫んだ

さすがに取り込みは船長がやってくれたが、船のみんなが協力してくれて、あげることが出来た!

ついに獲った!

港に帰り計測すると、そのシーズン初の30kgオーバー

ロッド アリゲーター fp simaaji205
リール オシアジガー4000HG
ライン よつあみ ジグマン8号 300m
ハリス シーガー20号
針   カットヒラマサ15号



image.jpg

開幕まであと3日...
nice!(0) 

nice! 0

3000xh→3000xhラインがない!? ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。